2025年6月2日 / column グギ・ワ・ジオンゴ ケニア出身の作家グギ・ワ・ジオンゴ氏が先月末に亡くなりました。以前ダイスケ大将が買っていて、私は未読だった「泣くな、わが子よ」を手に取ったら、あまりの面白さに一気読み。1940年代半ばから ’50年代末期、独立まであと少しという時期のイギリス植民地下にあった農村が舞台。貧しい中でも「教育の大切さ」を皆信じていて、末息子を学校に通わせる事を誇りに思う親兄弟。学業にいそしむ少年。反英独立の武装勢力(マウマウ)の出現から起こる恐怖や不安・・・。独立前史としても優れた小説だと思います。また、人種や階級による差別や考え方、人々の振る舞いには、半世紀以上たっても変わらない普遍性を感じました。翻訳の宮本正興氏のあとがきの前に、吉田昌夫氏が文章を寄せています。’60年代に留学されていたウガンダのマケレレ大学(グギ・ワ・ジオンゴ氏も、同じ頃在学していた模様)での様子があり、こちらも大変興味深かったです。ちなみに、日本のアフリカ界におけるレジェンドのような吉田先生は、 下村京子さんがお連れ下さり、何度かご来店されています。多分、当店最高年齢のお客様。どうぞお元気でいてください。